クロミフェン療法・シクロフェニル療法・レトロゾール療法
Q1.排卵誘発剤って何?
排卵誘発剤には飲み薬と注射があります。ここでは飲み薬に関するご質問にお答えします。
飲み薬は排卵を促すもので「卵を育てるためにホルモンを出してくださいな」と間接的に働きかけるもの。
クロミフェン療法・シクロフェニル療法といわれるものです。
Q2.排卵誘発剤はどのような場合に使いますか?
1.排卵障害に対して有効な選択肢の一つです。
2.自分のもっている力を高める方法…ステップアップ!です。
Q3.どういう薬がありますか?
当院の場合、クロミッド(一般名:クロミフェン)やセキソビット(一般名:シクロフェニル)
フェマーラ(一般名:レトロゾール)を使用します。
クロミッドは日本で最も広く使われている経口排卵誘発剤です。
Q4.お薬の飲み方を教えてください。
一般的にクロミフェンは月経3~5日から1日1~3錠を5日間服用、
シクロフェニルは1日2~6錠を7日間服用、レトロゾールは1日1~2錠を5日間服用します。
一日のお薬の量、使用開始の日は一人一人異なります。
必ず医師の指示通りに服用してください。
Q5.クロミフェン療法での内服による副作用が心配…
このお薬の原理は間脳に作用してゴナドトロピン放出ホルモンを分泌させ、
その結果下垂体から卵巣刺激ホルモンと黄体化ホルモンが分泌されて卵巣を刺激し排卵を誘発します。
卵胞を育てる作用があるので、下腹部の痛みや張り感が起こることがあります。
ごくまれに胃腸の調子が悪い、目がかすんだり(霧視)、頭痛が起こることがあります。
クロミフェンによる排卵誘発のパワーはシクロフェニルに比べると強いのですが、
長期の服用により頸管粘液の分泌を抑えたり、子宮内膜の発育を妨げる(ふかふかのベットではなくなる)こともあります。
一方シクロフェニルはクロミフェンにくらべて排卵誘発効果は弱いのですが、
多くの人は頸管粘液が減少することはありません。
Q6.気を付けてほしいこと。
きちんと通院し、医師の診察を受けていれば早目に異常の発見や対応ができます。
飲みっぱなしでなく、お薬を服用している周期はしっかり診察にきてください。
ひとそれぞれ副作用の出方は違ってくるので、お薬を服用して体調が思わしくない場合は必ず受診して医師に相談してください。
また他の医療機関や他科、漢方薬局でお薬をもらっているときは必ずどちらの医師にも服用しているお薬の情報を伝えてください。
お薬手帳を上手に活用しましょうね。)
ドパミンアゴニスト療法
Q7.高プロラクチン血症のお薬はどのようなものですか?
プロラクチン(別名:乳汁分泌ホルモン)は妊娠後期や授乳時に乳汁を出すホルモンです。
高プロラクチン血症とは下垂体からの分泌が過剰になることによって月経不順や無月経となったり、
乳汁分泌の原因となり、排卵障害に関与するといわれています。
特定のお薬の影響、甲状腺機能異常や下垂体腫瘍でも起こる場合があります。
検査値だけでなく皆さんからの問診で思い当たることがないか、消去していきながら、必要に応じてお薬を内服していただきます。
高プロラクチン血症のお薬は脳下垂体前葉のプロラクチン産生受容体に結合し、プロラクチンの分泌を抑えます。
お薬の種類によって飲み方がかわります。
●プロモクリプチンメシル酸塩(薬名:パーロデル)最も古典的なお薬です。飲み始めに気持ち悪くなることがあります。 ●カベルゴリン(薬名:カバサール)週に1回(同じ曜日)の寝る前に服用します。光と湿気に弱いお薬なので専用の袋で保管してください。 |
Q8.ドパミンアゴニスト療法によるお薬の副作用が心配です…
上記に書いた通り気持ち悪くなったり、吐き気やめまいの症状が表れることがあります。
カバサールはパーロデルより副作用のでにくいお薬ではありますが、注意点は同じです。
お薬の服用後はゆっくり休息をとれる時間の前にしましょう。
れ以外にも人によってさまざまな副作用を起こす可能性があります。
お薬のくわしいことはかかりつけの薬局で確認しておきましょう。
高プロラクチン血症のお薬をのみはじめて1~3か月後、もう一度検査をしてお薬の量が適しているかを確認していきます。
黄体ホルモン療法
Q9.黄体機能不全とはどのようなことをいうのでしょうか?
黄体機能不全は、黄体からのエストロゲンとプロゲステロンの分泌不全によって子宮内膜の分泌変化が完全におこらないものと定義されています。一般的には
1.基礎体温の高温相が10日以下(12日未満としてもよい)
2.黄体期中期の血中プロゲステロンの値が10ng/ml以下の場合
3.子宮内膜日付診の異常
のいずれかひとつが当てはまれば、黄体機能不全といいます。不妊患者さんの10~30%に認められるといわれています。
Q10.治療に使うお薬はどのようなものですか?
hCG注射によって黄体を維持・活性化する方法か、
注射もしくは内服薬を使用し黄体ホルモンを補充する方法が一般的に行われています。
黄体機能の異常を起こしそうな原因(卵胞の発育不全や高プロラクチン血症、甲状腺機能異常など)が存在する場合はそちらの治療を行うことで改善されることもあります。
どんな場合でも、お薬を飲んで体調に変化があった場合は医師や薬剤師に相談してください。
お薬手帳を活用し自分が服用しているお薬は常にわかるようにしておきましょう!
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