teracce 【いっぽ~不妊カウンセラーの独り言】子育てをしたい ~養子縁組・里親~

医療コラム

養子縁組制度

養子縁組制度の本来の目的は養子縁組によって新しい親子関係を築くことが望ましい子どものための制度と考えていただけるといいと思います。もともと日本には普通養子制度しか存在しませんでした。しかし1973年の「赤ちゃんあっせん事件」を発端に、1987年民法改正によって特別養子制度が導入され翌年から施行されました。また同時に厚生労働省によってあっせん事業者は届け出が義務付けられました。現在特別養子縁組は年間300件台にとどまっており増加しているわけではありません。表に普通養子縁組と特別養子縁組についてざっくりまとめます。

特別養子縁組は、子どもの福祉のためにあるものなので、「跡取りがほしい」「五体満足の子ども希望」「産みの親に病気がない子」「子どもさえいれば夫婦関係がうまくいくはずなので」などという養親の希望によって進めるものではありません。自然に妊娠されても不妊治療であっても子供の障害をゼロにすることはできません。自分が出産した子供の場合と同じようにどんな環境で芽生えた命でも、将来的にどんな病気や障害が出ようとも、自分の子どもとして一生責任をもって守り、愛情豊かに育てていく決意が養親には必要です。

項目

普通養子縁組 特別養子縁組
名称 普通養子 特別養子
成立 養親と養子の親権者と契約 家庭裁判所に申立て審判を受けなければならない
親子関係 実親、養親ともに存在 実親との関係消滅
戸籍の記載 養子・養女 長男・長女
養親の離縁 認められる 原則できない
養子の年齢 制限なし 6歳未満
相続権 実親・養親の両方の相続権がある 実親の相続権は消滅

※未成年者で直系卑属でない場合は家庭裁判所に申立て縁組の許可をもらわなければならない

 

里親制度

厚生労働省のHPに里親制度が掲載されています。

『里親制度は、家庭での養育が困難又は受けられなくなった子ども等に、温かい愛情と正しい理解を持った家庭環境の下での養育を提供する制度です。家庭での生活を通じて、子どもが成長する上で極めて重要な特定の大人との愛着関係の中で養育を行うことにより、子どもの健全な育成を図る有意義な制度です。』を目的としています。

里親制度には養育里親、養子縁組を希望する里親、親族里親などの種類があります。相談は各市町村の児童相談所となります。