NEWS お知らせ

ニュース 診療科

泌尿器科・山﨑医師の論文が国際医学雑誌「American Journal of Men's Health」に掲載されました

当院泌尿器科の山﨑一恭医師らが行った研究が、男性の健康分野において権威ある国際学術誌「American Journal of Men's Health」に掲載されました。

掲載論文はこちら:
🔗 https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/15579883251352972

論文タイトル
Association of the Ratio of Second to Fourth Digit Length and Phthalate Exposure With Sexual Function in Japanese Men Seeking Fertility Treatment
(不妊外来を受診した日本人男性における第2指・第4指長比およびフタル酸エステル曝露と性機能との関連)

研究の概要
本研究では、男性不妊外来を受診した177名の日本人男性を対象に、以下の2つの因子が性機能に与える影響を調査しました。
第2指(人差し指)と第4指(薬指)の長さの比率(2D:4D)
 この比率は胎児期のアンドロゲン(男性ホルモン)曝露の指標とされており、性格や生殖機能との関連が注目されています。
フタル酸エステル代謝物の尿中濃度
 プラスチック製品などに含まれる「フタル酸エステル」は、男性ホルモンの働きを抑制する内分泌攪乱物質として知られ、男性の生殖機能
   に影響を及ぼす可能性が報告されています。

調査の結果、一部のフタル酸エステル代謝物は、男性ホルモン濃度の低下、および男性ホルモンとは無関係の未知のメカニズムを介して、性欲・勃起機能などの性機能指標を悪化させる可能性が示されました。一方、2D:4Dと性機能指標との間には明らかな関連性は示されませんでした。

本研究の意義
本研究は、男性の性機能が胎児期ではなく現在の環境化学物質暴露の影響を受ける可能性があることを示唆する重要な知見です。男性不妊の原因のうちで性機能障害が占める割合は増加しています。不妊治療、性機能障害の治療において身体的要因だけでなく、生活環境や環境曝露への理解を深めることは、より包括的なケアの提供につながります。