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泌尿器科・右精索静脈瘤に対する手術により自然妊娠が成立した症例を発表しました
2025年6月20日に神戸市で開催された第44回日本アンドロロジー学会学術大会において、当院泌尿器科の山崎一恭医師らのグループが「右精索静脈瘤を伴う精子無力症に対して、右側のみの精索静脈瘤根治術を行い、術後早期に自然妊娠に至った1症例」についてポスター発表を行いました。
■発表の概要
精索静脈瘤とは精巣の周囲の静脈が拡張・蛇行する疾患で、男性不妊の原因としてよく知られています。通常は左側のみにある事が多く、両側もまれにありますが、右側だけに発症する事はほとんどありません。
今回ご報告したのは、1年間の続発性不妊(二人目以降のお子さんができない)ために受診し、精子の運動率が著しく低下している「精子無力症」と、右側に高度(Grade 3)、左側に中等度(Grade 2)の精索静脈瘤と診断された症例です。
本症例では右側のみに対して顕微鏡下精索静脈低位結紮術を施行しました。その結果、術後2ヶ月という早期の段階で精液所見が明らかに改善し、自然妊娠が成立しました。
■本発表の意義
これまで右側のみの精索静脈瘤に対する治療効果を詳細に検討した報告はほとんどありませんでした。本症例は、右優位の両側精索静脈瘤症例において右側のみの手術が有効であった稀有な例として、今後の治療方針を考える上で貴重な示唆を与えるものです。
■最後に
当院泌尿器科では、不妊治療を含めた男性機能の診療にも積極的に取り組んでいます。精索静脈瘤に対しても、顕微鏡手術を用いた体への負担が少ない治療を行っております。お困りの際は、ぜひご相談ください。
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