コラム 見えないけれど大切なもの~リプロダクション部培養室

医療コラム

【いっぽ~不妊カウンセラーの独り言】

詩人・金子みすずの作品『星とたんぽぽ』をご存じでしょうか?

青いお空の底ふかく 海の小石のそのやうに 夜がくるまで沈んでる

昼のお星は眼にみえぬ。

見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。

 散つてすがれたたんぽぽの 瓦のすきにだァまつて 春のくるまでかくれてる

つよいその根は眼に見えぬ。

見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。

見えないけれど大切な場所があります。リプロダクション部の培養室です。培養室とは体内から得た卵子と精子の受精、培養、凍結、融解、そして受精卵()を胚移植できる段階まで、大切にお預かりする場所のことをいいます。不妊治療の現場、特に生殖補助医療(ART)を行うために欠かすことができない中核的な施設です。

自然妊娠であれば体内で行われるこれらの工程を人の手で行い、保存管理を行うため、培養室は手術室レベル以上の清浄度を保ち、セキュリティを守るためにも限られたスタッフしか入室することはできません。この部屋で業務にあたる培養士達は技術を磨き学び続け、皆さんの大切なものと思いを静かに受け止め守る努力をしています。

なかなか患者さんたちとお会いする機会がありませんが、いつも皆さんを大切に思っています。