新しい前立腺癌スクリーニング法「Prostate Health Index (PHI)」の初期成果を発表しました
2024年6月15日に自治医科大学で開催された第5回日本泌尿器科学会栃木・茨城合同地方会において、当院で新たに導入した「Prostate Health Index (PHI)」を活用した前立腺癌スクリーニングの初期成果について発表いたしました(発表者:溝口雅大 医師)。
PHIとは?
前立腺癌の早期発見において、従来から使用されているPSA(前立腺特異抗原)検査に比べ、PHIはより精度の高いスクリーニング法です。PHIは、PSA、free-PSA(fPSA)、および[-2]プロPSA(p2PSA)の3つの指標を組み合わせることで、前立腺癌のリスク(進行するリスク、あるいは治療抵抗性のリスク)をより正確に評価することができます。
研究背景と目的
当院泌尿器科では、2022年6月から2024年3月までの期間で、PHIを用いた前立腺癌スクリーニングを実施しました。この研究の目的は、PHIが従来のPSA検査に比べて不必要な生検を減らし、リスクが高い癌を効率的に検出できるかどうかを検証することです。
研究結果
今回の研究では、以下の2つの検討を行いました。
- ①PSA値10 ng/mL以下かつMRI所見陰性の患者の前立腺生検:
- ・PHIを使用した群(PHI施行群)は6例、使用しなかった群(PHI施行無群)は11例でした。
- ・PHI施行群では、6例中2例(33%)に悪性所見が認められ、そのうち1例は中間リスク、もう1例は高リスクと分類されました。
一方、PHI施行無群の11例中2例(18%)に悪性所見が認められ、2例とも低リスクと評価されました。
- ②PHI陰性かつ生検を実施しなかった患者の経過:
- ・PHI陰性と判断された3例については、観察期間中に生検を行わずに経過観察を続けることができました。
研究の考察
この結果は、PHIが不必要な生検を減らし、リスクの高い前立腺癌を効率的に検出するという目的に合致していることを示しています。特に、PHIを活用することで、中間リスク以上の前立腺癌を見逃さずに診断できる可能性が高まります。
筑波学園病院泌尿器科からのメッセージ
筑波学園病院泌尿器科では、患者さんの負担を減らし、より精度の高い診断を提供するために、新しい医療技術を積極的に導入しています。前立腺癌のスクリーニングに関心がある方、あるいはご不安がある方は、ぜひ当院泌尿器科までご相談ください。
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