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泌尿器科・山崎一恭医師筆頭著者の論文が『Reproductive Medicine and Biology』誌上で発表されました

当院泌尿器科の山﨑一恭医師が筆頭著者、内田将央医師が共同著者である論文「精子中の基礎酸化還元電位レベルに基づく、精子形成障害に対する抗酸化剤併用療法の効果に関する研究(Effects of antioxidant co­supplementation therapy on spermatogenesis dysfunction in relation to the basal oxidation­reduction potential levels in spermatozoa: A pilot study.)」が、生殖医療分野において上位(11/31誌中)にランクされる英文誌『Reproductive Medicine and Biology(RMB)』誌に2022227日付けで掲載されました。

この研究は、当院と横浜市立大学附属市民総合医療センター生殖医療センター、山王病院リプロダクションセンター/婦人科内視鏡センターとの共同で行われ、男性不妊の治療薬として頻用されている抗酸化剤に注目しています。抗酸化剤は精子に有害な作用をもたらす過剰な酸化ストレス(OS)の軽減を目的に投与されますが、これまでのところ男性不妊症に対する有効性は確立していません。そこで治療前に精液中の酸化還元電位(sORPOSマーカーの一つ)を評価することで、男性不妊症に対する抗酸化剤の有効性を予測できるかどうかを検討しました。その結果、治療前の精液中sORPがカットオフ値よりも高い場合には、3ヶ月間の抗酸化剤(コエンザイムQ10、ビタミンC、ビタミンE、不飽和脂肪酸含有サプリ)投与により、精子濃度の上昇が見込まれることが示されました(下の図参照)。

今回の研究から、治療開始前にOS状態を調べることで、抗酸化剤の投与が有効な患者さんを選択できる可能性が示されました。今後はより多くの患者さんに対してより長期間投与することで、治療開始前のOS状態に応じた抗酸化剤治療の有効性を確認していくことが望まれています。 

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/rmb2.12450