放射線部
お知らせ
部門紹介
当院放射線科は、高磁場MRI装置、ヘリカルCT装置、血管撮影装置など高性能な画像診断装置を用いて、各種疾患の画像診断を行っております。これらの診断や治療に当たっている各科専門医や専門技術を習得した診療放射線技師が対応しております。
当院放射線科のモットーとして、診断を迅速に誠意をもって提供しております。
スタッフ紹介
磁気共鳴画像診断装置(MRI)
GE製SIGNAExplorer(1.5T)
当院では、2019年9月に「SIGNAExplorer」(GEヘルスケア・ジャパン)が導入されました。
超伝導磁石1.5T(テスラ)を使用しており、高画質撮影や各種コイルを用意し全身のほぼ全ての部位の撮影が可能です。
撮影部位や検査内容に応じて装置の性能を十分に生かしより短時間でより高画質な画像を収集できるよう検査を行なっています。
検査方法
撮影台に寝てもらい、円筒状の磁石の中に入って検査します。検査時間は、撮影部位や内容によって異なりますが30分前後で終わります。撮影部位によっては息を止めて検査します。検査中は工事現場のような大きな音がしますが、痛みを伴いませんので身体を動かさないようにお願いします。
造影剤について
造影剤は検査する部位をより詳しく調べる目的で使用する薬です。静脈注射で注入しますが、その種類、注入方法、注入量は体重や検査部位によって異なります。
造影剤の副作用
比較的安全な薬ですが、嘔吐、かゆみ、蕁麻疹、気分不快感などの症状が起こる場合があります。
何か症状が見られましたら病院にご連絡下さい。
造影剤使用の注意
当院では検査前に問診表の記入をしていただきますが、以下の症状がある方は主治医、看護師、担当技師にお知らせください。
- MRI造影剤副作用歴がある。
- 喘息(ぜんそく)やアレルギーがある。
- 腎臓の機能が悪い。
検査上の注意
強い磁気を使う検査ですので受けることができない方、また受けられない可能性のある方がいます。
- 心臓ペースメーカー、その他の電極を体内に入れている。
- 体内にクリップや人工関節をなど金属が埋め込まれている。
- 妊娠または妊娠している可能性がある。
- 閉所恐怖症など狭いところが苦手。
検査前の準備
MRI室内にも強力な磁場が発生しています。次の物は故障したり、検査に影響したりすることがあるので検査室内に持ち込むことができません。検査前に必ず取り外して下さい。
- 金属類…時計、メガネ、鍵、指輪、ヘアピン、アクセサリー類など。
- 磁気カード…キャッシュカード、テレホンカードなど。
- その他…入れ歯、補聴器、ベルト、ライター、カイロ、エレキバン、カラーコンタクト、刺青(タトゥー)、金属の付いている下着など。化粧品(マスカラなど)の中には金属を含んでいるものがあるため、化粧を落としていただく場合があります。)
IDEAL
当装置の特徴として、Dixon法を利用した脂肪抑制撮影、IDEALがあります。
IDEAL
3 Point Dixon法を利用した水脂肪分離法です。
従来のCHESS法脂肪抑制に比べ、撮影部位の形状や金属による不均一な局所磁場の影響を抑え、均一な脂肪抑制画像を得られます。
一度の撮影で4つのコントラスト(水画像(脂肪抑制)、脂肪画像、In Phase画像、Out of Phase画像)を同時に取得します。
血管造影装置(アンギオグラフィー)
検査の特徴
X線透視像、血管造影像を観察しながらカテーテルと呼ばれる細い管を血管に挿入し病気の検査・治療を行ないます。つまった血管を広げる、出血した血管をつめて止血する、悪性腫瘍を死滅させるなど、外科手術を行なわず、できる限り体に傷を残さず(腕や太ももの付け根に数ミリの傷が残る程度)に治療することが可能な低侵襲的方法でIVR(Interventional Radiology:インターベンショナルラジオロジー)といいます。
装置の特徴
血管撮影装置の特徴は
- 造影剤注入前と注入後の画像を引き算することにより造影剤が注入された血管のみを鮮明に描出する機能:DSA(Digital Subtraction Angiography)
- 冠状動脈や左心室の心臓血管造影は心臓の動きが早い為、1秒間に15~30コマという高速動画撮影により動きによる画像のボケのない鮮明な画像を描出する機能:DA(Digital Angiography)
を備えている点です。
また、X線管球・検出器は前後左右に自在に動くことが可能で、様々な角度から血管を観察することが可能です。
基本的に検査中は寝台に寝ているだけですが、呼吸による動きの影響を受ける腹部のDSA撮影では、やや長めの息を止めをして撮影する場合があります。
造影剤について
CT造影検査等で使用するX線ヨード造影剤を使用します。X線ヨード造影剤副作用歴・喘息(ぜんそく)・アレルギー・腎臓の機能が悪い、などある方は検査前に主治医、看護師にお知らせください。
体外衝撃波結石破砕術(ESWL)
体外衝撃波結石破砕術(ESWL)とは
ESWLは体の外で発生させた衝撃波を体の中の腎結石・尿管結石に焦点を合わせて、1回の治療で約3000発の衝撃波を加えて結石を細かく破砕する治療方法です。
ESWL治療の対象は、尿路結石全体の約90%を占める上部尿路結石(腎結石、尿管結石)です。
つまり、ほとんどの尿路結石の治療がESWLで行われています。
基本的に麻酔は不要で、通常は痛み止めの坐薬や点滴注射のみで治療が可能です。また1秒間に2発の衝撃波を加えるので、実際の破砕治療時間は30~40分前後(状況により変わります)と短時間で済みます。なお結石の大きさや硬さなどによって2回以上の治療が必要な場合もあります。また尿管の下流3分の1に存在する尿管結石では尿管鏡を用いた内視鏡手術(経尿道的尿管砕石術:TUL)をお勧めする場合もあります。
当院泌尿器科ではESWL、内視鏡的破砕手術の両方に対応する体勢を整えております。
ESWLは健康保険上は手術の扱いになっており、手術費用のみで22万3千円です。各種保険に応じて費用を負担して頂きますので、3割負担であれば約6万7千円になります。同じ結石に対して2回以上の治療が必要な場合は追加の手術費用はかかりませんが、治療が長期に及ぶ場合等は新たに費用が生じる場合もあります。ESWLは日帰り治療で行っています。どうぞお気軽にご相談下さい。
コンピュータ断層撮影装置(MDCT)
GE製Revolution Frontier
2019年7月より、GE社製最新鋭CT装置「Revolution Frontier」を導入いたしました。GE独自に開発されたガーネット検出器の搭載により、データ収集レートが飛躍的に高速化し、従来よりも被曝を抑え、かつ高分解能・高画質の画像を取得することが可能となりました。さらにデュアルエナジー撮影機能も加わり診断能も格段に向上しました。
また撮影時間も短くなり、息止めが困難なお年寄りの方やお子様への負担も軽減いたします。主な特徴についていくつかご紹介させていただきます。
デュアルエナジー撮影
高速kVスイッチング機能により異なるX線エネルギー画像を収集することにより、様々な物質弁別画像を構築することが可能となりました。
下の画像は水密度画像の取得により、腰椎圧迫骨折症例における骨折部位を描出した画像です。脊椎領域において、レントゲンやCTにて描出が困難な不顕性骨折の場合には、MRI検査が必要でした。ですがこのデュアルエナジー撮影にて水密度画像を取得することにより、骨折部位を同定することが可能となり、早期診断・早期治療に役立ちます。
画像再構成技術の向上
新たに登場した「ASiR-V」という画像再構成技術により、従来よりもさらなる高画質化・低被曝化が可能となりました。
- 最大82%の被曝低減
- ローコントラスト検出能135%アップ
- 画像ノイズ91%低減
- 高分解能関数実用性向上
- ストリークアーチファクト低減
金属アーチファクト除去(MAR)
手術をされ体内に金属を埋め込んだ患者様では、金属によるアーチファクトという影響で画像が評価しづらくなってしまいますが、この機能を用いることで、この影響を軽減することが可能です。
安定した高画質心臓CT検査
「Snap Shot Freeze」という最適心位相検索機能により、患者様各々の心拍状態に対応した最適な心位相検索を行い、モーションアーチファクト(ブレ)の少ない画像を取得できます。

水晶体・乳腺などへの被曝線量低減
「Organ Dose Modulation」という機能により水晶体・乳腺などの放射線感受性の高い臓器への被爆を低減することができます。
低減させたい臓器側の線量を自動的に低減させながら撮影することで、水晶体では約30%、乳腺では約40%の被曝線量を低減可能です。
造影剤について
造影CTは医師が診断上必要と判断した場合に行います。
主に腕の静脈に注射して注入します。注入量は体重や検査部位によって異なり、成人でおよそ100ml前後の造影剤を使用します。注入された造影剤は6時間後には約90%が腎臓から尿として排泄されます。(検査後は早めに排泄されるようになるべく水分(お茶・水・ジュースなど)を多めに摂取して下さい。)
造影剤の副作用
稀にですが次のような症状が起こる場合があります。
- 軽度の副作用:かゆみ、蕁麻疹、嘔吐、気分不快感などの症状。
- 重度の副作用:呼吸困難、動悸、ひきつけ意識低下などの症状。
また、検査終了後、数時間~数日後に頭痛、吐き気、かゆみ、蕁麻疹などの症状があらわれることがあります。
何か症状が見られましたら病院にご連絡下さい。
造影剤使用の注意
当院では検査前に問診表の記入をしていただきますが、以下の症状がある方は主治医、看護師、担当技師にお知らせください。
- X線ヨード造影剤の副作用歴がある。
- 喘息(ぜんそく)やアレルギーがある。
- 腎臓の機能が悪い。
- 妊娠または妊娠の可能性がある等。
- 授乳中の方。
乳房X線撮影(マンモグラフィー MMG)
マンモグラフィーの重要性
かつて欧米に多いがんとされていた乳がんが、日本でも急増、それに伴い乳癌の死亡率も増加しています。
マンモグラフィーは触診では触ることの難しい微小な石灰化像や病変を検出することができ、より初期段階の乳がんを発見することが可能な検査方法としてその有用性が高く評価されています。
また、当院でのマンモグラフィー検査は女性診療放射線技師が担当致します。女性ならではの細やかさや気配りで、安心して検査を受けていただけます。検査においてご不明点等ございましたらお気軽にスタッフにお尋ねください。



検査方法
乳房はX線吸収線量の近似する皮膚、脂肪組織、乳腺組織、血管からなっており、乳房の大きさや厚さは人によって異なります。そのため、乳腺疾患を描出するより良い画像を撮影するために乳房専用X線装置を使用し、乳房を均等の大きさで圧迫する必要があります。また、圧迫することは被曝線量の低減に繋がります。
検査上の注意
乳房圧迫時は上記の理由により痛みを伴う場合があります。過大な痛み(我慢できないような強い痛み)を感じるときは検査技師にその場で伝えて下さい。
(また、緊張した状態で撮影を行うとより強く痛みを感じる場合があります。リラックスして撮影できるような説明を心がけたいと思います。気になることがあれば撮影時、検査技師に聞いて下さい。)
超音波診断装置(ultrasonic diagnostic equipment)について
日立製ARIETTA 70
体内に超音波を発信し、そこから返ってくる反射波を受信し、コンピュータ処理で画像化して診断します。

超音波検査の特徴
音波を利用する為、放射線の被曝はありません。産婦人科では胎児の診察にも用いられています。
腹部、乳腺・甲状腺、頚動脈・下肢静脈、心臓など多くの領域の検査を行っています。
組織の成分によってそれぞれ超音波画像のパターンがあり、周囲の正常な組織と組成が異なるため、その違いから、病変を描出・評価します。また、リアルタイムで観察することができ、血流の評価など行うことが可能です。
また、組織を採取や臓器の位置を確認しながら治療を行うときに使われることもあります。
しかし、CT・MRIなどと比べ術者の技術や被検者の状態(体格・食事の有無)などによって検査精度が変わる短所があります。

検査方法
検査時間は部位によって異なりますが、通常10~20分くらいです。
基本的にはいずれの部位の検査でも仰向けで寝ていただきますが、場合によっては右向き・左向き、うつ伏せなど体位変換をしながら検査を行います。検査部位にゼリーをつけ、超音波を送受診する探触子を当てながら検査を行います。
検査を受けるときの注意
腹部超音波検査に関して、消化管内に空気が多く存在すると画像がよく見えません。食後は消化管内に空気が発生しやすい為、絶食の状態で行ないます。また、膀胱を検査する場合は尿がたまっているほう詳しく観察できるので、検査前の排尿はできる範囲で我慢するようお願いします。
単純X線撮影(X-rayPhotography)
一般的に「レントゲン写真」と呼ばれている検査です。
当院のX線撮影システムには、フラットパネルディテクタ(FPD)システムを導入しております。
従来のCRシステムよりも、大幅に被曝線量が低減され、かつ高画質の画像を提供できるようになりました。また、一瞬でデジタルへと変換し画像化するため、患者様の検査時間・待ち時間の短縮にもなります。
FPD導入に伴い、以下の新しい画像処理技術が加わりました。
Virtual Grid(バーチャルグリッド)
従来のX線撮影システムでは、画質の低下を招く散乱線という成分を除去するために、「グリッド」という金属のフィルターを用いていました。
グリッドを用いる場合、その分撮影条件を上げなければなりませんでしたが、このVirtual Grid機能は、グリッドを使用せずとも、散乱線成分を除去することができます。
そのため、従来よりも被爆線量を抑えつつ、高画質の画像を取得することができるようになりました。
ダイナミック処理
X線写真において、人体の厚みや構造物の違いに差がある部位の撮影では、画像のコントラストと濃度が安定せず、白とびや黒つぶれが生じてしまいます。
しかしこのダイナミック処理により、撮影した画像から人体構造を推測することで、コントラストと濃度を安定化させ、人体構造全体をバランス良く描出させることができるようになりました。
さらに、全脊椎撮影や下肢全長撮影を一回で撮影できる長尺撮影装置(ロングサイズ型フラットパネルCALNEO GL)も導入しております。こちらは、従来のCRシステムでは複数枚の画像の読み取りと合成処理に手間と時間がかかっていたのに対し、ロングサイズフラットパネルディテクタにより撮影から画像処理までの時間が大幅に短縮され、かつ低被ばく・高画質の検査が可能となりました。
一般撮影室1番
健診センター
一般撮影室2番(奥:長尺撮影装置)
原理
X線は物質を透過する性質があります。X線を体に照射して、体の中の組織の透過率の違いを利用して、白黒の濃度差として写真にしています。骨などの硬い部分は白く写り、肺などの空気を含む部分は白く写ります。
単純X線検査の注意
洋服やボタン、ネックレス等は画像に写り診断に支障をきたしてしまうことがあります。また、撮影部位によっては、検査着への着替えや身につけているものをはずしてから撮影していただく事もあります。
撮影内容によっては息止めが必要な場合もあります。撮影している時間は1秒もかからないため、合図に合わせて息を止めるようにしてください。
また、平成23年よりPACS(画像保存通信システム)を導入しているため、撮影した写真を患者さんに渡して診察室へお持ちいただくことはありません。
骨密度検査
骨密度
骨の中には骨塩量といわれる、カルシウムを含むミネラルの量があります。
一定の容積あたりのこのミネラル量を骨密度といいます。骨密度は成長期に増加し、30~40歳代で最大に達し、それ以降は年齢とともに減少します。若年成人(20~44歳)の平均骨塩量の20%減少までは正常、20~30%を骨量減少、30%以上の減少を骨粗鬆症と言われています。
原理
DXA法(デキサ法)
2種類の異なったエネルギーレベルのX線透過率の差を利用して骨量を測定する方法で、2重エネルギーX線吸収法(DXA法)と呼ばれています。現時点で、腰椎のDXA法を骨塩量測定の診断の基準とし、骨粗しょう症の診断、経過観察や治療効果の評価に広く用いられています。
当院では、平成23年より新しい骨密度装置を導入し、より短い撮影時間(1分半程度)と少ない被曝量で検査を行うことができます。
検査方法
数分間、検査台の上で仰向きになってじっとしているだけです。
腰の回りに金属類などX線に影響するものがついている場合ははずしていただきます。現時点での体格を考慮するため、検査前に身長と体重を問診させていただきます。
X線透視診断装置
TOSHIBA ultimax-i
X線透視検査とはX線を連続的に発生させ、リアルタイムで透視像を観察する検査です。
当院では食道や胃、大腸などの消化管の検査、胆のうや胆管膵管の検査、脊髄造影の検査、骨折・脱臼の整復、子宮卵管の検査、腎臓尿管の検査など、透視装置の用途は多岐にわたります。

検査について
透視装置を用いた検査は様々なものがありますので、ここでは一例をご紹介します。
上部消化管造影(胃X線透視)
造影剤(バリウム)と、胃を膨らませる炭酸ガスを発生させる発泡剤を飲んでいただき、検査を行います。検査中はゲップを我慢していただき、胃を膨らませた状態で、胃の粘膜にバリウムを付着させるため、身体を仰向けやうつ伏せ、左右に回転させるなどの動きをしていただきます。検査後は下剤をお渡ししていますが、腸内にバリウムが残って固まらないよう、水分を多めに摂るようにしてください。

下部消化管造影(注腸造影)
主に大腸の状態を観察する検査です。肛門に細い管を挿入し、造影剤(バリウム)と空気を注入します。注入したバリウムを大腸の粘膜表面全体に付着させるため、体を回転させ、透視観察、撮影を行います。
この検査では、事前に大腸内の便を除いた状態にするため、前処置が必要となります。

ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)
内視鏡を口から十二指腸まで入れ、その先端からカテーテルを胆管・膵管内に挿入します。カテーテルから造影剤を入れて透視観察を行い、胆管や膵管の状態を調べる検査です。胆管や膵管が閉塞していた場合、ステントという管を入れるなどの処置を行うこともあります。

脊髄造影(ミエログラフィー)
背中から針を刺して脊髄腔に造影剤を注入し、透視・撮影を行い脊柱管の形状などを調べる検査です。

子宮卵管造影
子宮の入り口から造影剤を注入し透視観察することで、子宮内腔や卵管、骨盤内の状態を把握する検査です。

逆行性腎盂尿管造影
尿道から膀胱まで内視鏡を入れ、その先端から尿管にカテーテルを入れます。カテーテルから造影剤を入れて腎盂・尿管の状態を確認し、尿管が閉塞している場合はステントという管を挿入する処置などを行います。
